第107章 命を返してやる

「今日、俺は……お前に命を返す」

そう言い切るなり、彼は引き金を引いた。

銃口から火を噴き、先頭にいた護衛が数人、声もなく崩れ落ちる。

続けざまに通路へ銃声が叩きつけられた。耳の奥がじん、と痺れるほどの連射。

「行くぞ!」

水谷瑞貴は一瞬も迷わない。若林星奈の腕を強く引き、車椅子を押しながら角へと突っ込むように駆けた。

星奈は引かれるまま走り、足元がふらつく。

振り返らない。けれど脳裏には、西野直人が最後に向けたあの目だけが焼きついていた。

――本当に、変わった。

だとしても、だから何だ。

傷はもうついてしまった。命ひとつで埋め合わせられるほど、軽いものじゃない。

星奈...

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