第116章 見かけ倒しではない

若林星奈がマンションに戻ったのは、もう深夜だった。

骨がばらばらになりそうなくらい疲れている。それでも優斗の前では、超人みたいなママでいなきゃいけない。

ハイヒールを脱いでスリッパに履き替える。リビングはフロアライトが一つ灯っているだけで、部屋の隅々まで影が落ちていた。

優斗はまだ起きていた。パジャマ姿で絨毯にうつ伏せになり、何かをいじっている。

近づいてみると、床には木のパーツがばらばらに散らばっていた。

水谷瑞貴が前にくれた、木製の船の模型だ。

構造がやたら複雑で、釘もネジも使わず、木と木の噛み合わせだけで組み上げるタイプ。それがいまや、見事に一片ずつ解体されている。

「マ...

ログインして続きを読む