第12章 実家

「――大丈夫なの……?」

「いったい、どこにいるの……」

ざわついた声がロビーに渦を巻き、皆が顔色を変えて探し始める。

若林星奈は胸の奥の動揺を力づくで押し殺し、視線だけを静かに巡らせた。ロビー、廊下、吹き抜け――そして、庭園のほう。

ガラス越しに、かすかに細い人影が見えた気がした。

星奈は若林優斗の手を取り、気配を殺して庭園へ向かう。バラの茂みに近づいた瞬間、そこにいたのは――腰を丸めた白髪の老人だった。

石のベンチに座り、背を向けている。両手には、古い写真。握りしめる指が、震えていた。

星奈の足が、ぴたりと止まる。

写真に写っていたのは、若い男が二人。片方は若き日の西野宏...

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