第120章 彼女はどこへ行ったのか

オークション騒ぎが収まって三日後、ルミネスタジオに市内便の小包が届いた。

中に入っていたのは、黒い金属製のカード一枚。温泉リゾート『ディープクラウド』のロゴが、鈍い光を帯びて刻まれている。

カードに添えられていたメモは、字が少し荒れていた。

――この前の件、あんたのお母さんが口を利いてくれて助かった。恥はかいたけど、少なくとも八百万をドブに捨てずに済んだ。このカードはあそこのホテルの最上級会員。礼だと思って受け取って。あと、外で会っても他人のフリでいい。

署名は「新山梨乃のマネージャー」。けれど、この物言い――どう見ても新山梨乃本人の癖だ。

若林星奈はカードを眺め、思わず鼻で笑った...

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