第141章 あげるよ

若林星奈は窓の外へ目をやった。通りの向かいに停まっていた黒いランドローバーは、もう走り去っている。背中に刺さっていた視線の気配も、じわじわと薄れていった。

彼女は視線を引き戻し、パソコンの画面へ意識を戻す。

ここ数日、彼女はほとんどルミネスタジオに寝泊まりしていた。

USBの中身は、もう何度見返したか分からない。交通事故の証拠だけではない。神田健斗は暗号化メールで、追加の資料を次々と送ってきていた。

神田晃と神田結愛の父娘は、殺し屋を雇って人を消そうとしただけじゃない。ここ数年、神田グループの内部で金を大規模に抜き取り、さらには海外の個人口座へ巨額の資金を流していた。

帳簿の細工は...

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