第151章 お前には吐き気がする

水谷瑞貴は耳元からスマホを離し、彼女を見た。瞳の奥に張りついていた冷たさが、ゆっくりほどけていく。代わりに、かすかな笑み。

「いい知らせだ」

「……なに?」

「赤鬼から。ヨーロッパレノブランドの責任者、ケイシーが、お前の西野グループへの提訴声明を読んだってさ。『度胸がある』って。西野グループはいま自分の火消しで手一杯で、こっちに手を出す余裕はない……そう判断したらしい」

水谷瑞貴は淡々と続ける。

「だから、いったん出してた『協業見合わせ』のメールを撤回する。ルミネとの契約、再開だ」

若林星奈は一瞬、言葉を失った。次の瞬間、胸の奥に詰まっていた息を、長く吐き出す。

押しつぶしてい...

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