第154章 誰がお前に触れられる?

隣のスイートルーム。

西野直人は檻に閉じ込められた獣みたいに、暗闇の中を行ったり来たりしていた。

掌からはまだ血が滲み、肉の奥にガラス片が食い込んだまま。それでも痛みは、まるで感じない。

彼はスマホを取り出し、連絡先のいちばん下に沈めていた番号へ発信した。

最後の切り札。海外へ金や財産を移す手配をする仲介屋だ。

「……用意しろ。現金で1,000万。ナンバーのない車も一台。人を連れて出る」

掠れた声には、なりふり構わない狂気が混じっていた。

通話の向こうが、二秒沈黙する。

次の瞬間、骨の髄まで嘲るような冷笑が落ちてきた。

「西野社長、ニュースも見てないんですか。あんたの海外の...

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