第162章 お前は何様だ?

深夜。

マンションはすっかり静まり返っていた。

神田晃はリビングのソファで寝落ちし、腹の底から響くようないびきをかいている。

神田結愛は床からそっと起き上がった。

窓辺へ歩み寄り、鍵を外して外を覗く。ここは2階。すぐ下に、太い雨どいが縦に走っていた。

黒いジャージに着替え、いくつか値の張るアクセサリーをポケットへねじ込む。

歯を食いしばり、窓枠をまたいだ。雨どいへ手をかけ、少しずつ、少しずつ下へ降りていく。

ざらついた金属が掌の皮を削った。ひりつく痛み。けれど、そんなものに構っていられない。

頭の中にあるのは、ただ一つ。

――私は絶対に、西野直人なんかに嫁がない。

両足が...

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