第167章 死?

死……?

全部、若林星奈のせいだ。

神田結愛は床を這う一匹のゴキブリを見つめていた。瞳の奥には、理性の欠片もない。煮えたぎる憎悪だけが渦を巻く。

――このまま終われるわけがない。

どうせ死ぬなら、若林星奈も道連れにしてやる。

自分は、狙うべき急所を間違えていた。

若林星奈がいちばん大事にしているもの――息子だ。

結愛は身に残った最後の「売れるもの」を差し出し、スラム街のジャンキーを二人、買った。

若林優斗は今日、幼稚園の外で絵を描く活動に参加する。

水谷瑞貴のボディーガードがどれだけ腕利きでも、開けた公園には必ず死角がある。

結愛は手描きの地図をテーブルへ叩きつけ、骨と皮...

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