第168章 みんなどろみんこの肉塊になってしまう

西野直人は水谷瑞貴に踏みつけられたままでも、男だった。優斗の父親だった。

神田結愛――あの狂った女が、よくも息子に手を出した。

奥歯を噛みしめ、全身の力をかき集めて地面から起き上がる。

膝の傷がまたぱっくり裂けた。だが痛みなんて、もうどこにもなかった。

ふらつきながら、さっき衝突して壊れたナンバーなしの車へ向かう。

フロントは潰れている。それでも、まだ動く。

片手でキーをひねると、エンジンがぎゃり、と耳障りな咆哮を上げた。アクセルを踏み抜き、西区の閉鎖された化学工場へ――狂ったように突っ込んでいく。

西区の閉鎖された化学工場。

だだっ広い工場の中央に、神田結愛が立っていた。泥...

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