第17章 口の利き方に気をつけろ

マイバッハは高速道路を滑るように走り、車内は暖房がよく効いていた。窓の外で暴れる冷たい風は、分厚いガラスの向こうでただ唸っているだけだ。

若林星奈は腕の中の若林優斗をきつく抱き締めた。大きく柔らかな毛布にくるまれた小さな身体は、ようやく呼吸が整いはじめている。時折、驚きの名残みたいに、ひくっと喉が鳴る程度。

神田健斗は片手でハンドルを押さえ、前方の路面から視線を外さない。

「……ありがとう」

沈黙を破ったのは若林星奈だった。声はまだ擦れていて、疲労がそのまま音になっている。

神田健斗の長い指が、ハンドルの上を軽く、こつ、と叩く。横目で彼女の横顔を掠めた。紙みたいに白い頬。

「西野...

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