第21章 聞き間違えた?

若林星奈がドアを押し開けた瞬間、冷気が肌を刺した。エアコンの冷たさじゃない。人の気配が放つ、ぞっとするような冷えだった。

西野直人は彼女に背を向けたまま、巨大な掃き出し窓の前に立っている。

星奈の視線が、わずかに右へ流れた。

ソファには山川心菜が腰を下ろしていた。病み上がりの青白さがまだ頬に残り、手にはティーカップ。星奈の姿を認めると、その口元がほんのかすかに持ち上がる。

その顔は、嫌というほど見慣れていた。

三年前――西野家の門から自分が引きずり出されたときも、この女はまさに今と同じ顔で見ていた。

「西野社長がお呼びだとうかがいましたが。ご用件は何でしょう」

声は丁寧で、よそ...

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