第30章 一滴の血

西野宏は彼女を見つめ、言葉の続きを待った。

「西野直人の血を一滴、ください」

その一言が落ちた瞬間、西野宏の眉間がぎゅっと寄る。

「……何だと?」

若林星奈は息を整え、はっきりと言い切った。

「親子鑑定。三年前のあの報告書は偽物です、おじいちゃん。優斗は西野直人の実子です。もう一度、鑑定をやり直します。誰の手も通さない。西野家のコネも一切使わない。いちばん権威のある司法鑑定機関に、極秘で、改ざん不可能な形で。至急で」

一拍置いて、声がさらに低くなる。

「直人さんのDNAが必要です。本人は協力しません。だから……お願いします。おじいちゃんにしか頼めない」

西野宏はすぐに答えなか...

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