第37章 君の望むとおり

「――あいつを、あの島へ捨てて」

若林星奈は彼を見た。整ったその瞳に宿っていたのは感謝ではない。骨まで凍らせるような冷たさだけ。

水谷瑞貴は眉をわずかに持ち上げる。返ってくる答えなど、最初から読めていたと言わんばかりに。

「へえ。雲城へ連れ帰って、皆の前で正体を暴くのかと思ってた」

「必要ない。もう二度と顔も見たくないの」星奈は吐き捨てるように言った。「あとは勝手に生きればいい。生きるも死ぬも、あいつの運。最低限の薬と、水と、食料だけ置いていけばいい。私の手を汚したくない」

容赦の欠片もない言い方だった。

殺さず、生かす。

あの島で。絶望と後悔の中で。

星奈と優斗が味わわされ...

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