第40章 愛人

そうだ。今の彼女には金がいる。優斗を過去の影から解き放てる、安全な居場所がいる。

誰にも寄りかからない。自分の手で、父と自分のものだったすべてを取り返す。山川心菜に、必ず代償を払わせる。

そのための第一歩は――まず、足場を固めること。

西野グループの月鳴プロジェクトは、彼女にとって最高の踏み台だった。

そこには山川心菜の秘密が眠っている。父がかつて嵌められた真相も、きっと。

退けない。

「鍵」

若林星奈が、ようやく口を開いた。

西野直人の身体がびくりと強張り、直後、胸の奥から歓喜が噴き上がる。

受け入れてくれた。少なくとも――彼の差し出すものを、まだ拒みきらない。

震える...

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