第47章 芝居は終わった

「山川部長。芝居は終わり――寒くないんですか?」

若林星奈は一歩近づくと、自分のトレンチコートを脱ぎ、露わになっていた山川心菜の肩へそっと掛けた。動きはやけに丁寧で、やさしさだけが形をしているみたいだった。

「お芝居でも、身体は大事にしてください。風邪でもひいたら……お腹の子がもたないでしょう」

山川心菜は彼女を見つめたまま、唇を小刻みに震わせた。言葉が出ない。

「行きましょう。家まで送ります」

星奈は半ば支え、半ば抱えるようにして、魂の抜けた山川心菜を助手席へ押し込んだ。

行きも帰りも、車内に会話はなかった。

車が停まったのは、山川心菜のマンション前。

星奈は降りない。ただ...

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