第65章 三者

怖いんじゃない。疲れているだけだ。

スマホをちらりと確認すると、もうすぐ9時になる。優斗はもう寝ているはず。森山仁菜もいるし、高田さんもいる。たぶん、問題はない。

若林星奈は眉間を揉み、立ち上がって外へ向かった。

取調室のドアを押し開けた、その瞬間――見慣れた影が視界に飛び込んでくる。

神田健斗。

濃いグレーのカシミヤコート。顔色はまだ青白く、怪我も完治していないのが一目で分かる。それでも足取りは速く、ほとんど小走りでロビーを横切り、まっすぐ彼女の方へ向かってきた。

背後には林田樹。緊張で顔が強張っている。

「星奈!」

神田健斗は彼女の前でぴたりと止まり、視線を頭のてっぺんか...

ログインして続きを読む