第76章 新しい隣人

若林星奈は優斗を連れて、遊園地が閉園するまで遊び尽くした。

帰りのタクシーでは、優斗はぐっすり眠っている。

今日が、いちばん笑った日だった。

タクシーが江庭マンションの前で止まる。

星奈は優斗を抱えたまま自宅へ向かった――その途中で、ふと違和感に足が止まった。

向かいの部屋。ずっと空室だったはずのマンションの扉が開いている。玄関先には段ボールがいくつも積まれ、引っ越し作業の真っ最中だった。

管理会社の制服を着た男が二人、濃いグレーの革張りソファを運び入れている。もう一人は大型のフロアスピーカーを肩に担ぎ、星奈の横をかすめて通り過ぎた。

若林星奈は眉をひそめる。

江庭マンション...

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