第88章 お試し勤務

三山唯は電話口で二秒ほど黙ってから、ようやく口を開いた。

「若林さん、先にお伝えしておきます。私、育児の資格とか、そういうのは何も持ってません」

「実家は北側の農村で……雲城に来て二年です。前はずっと家政会社で働いてて、掃除と買い出しと料理がメインでした。お年寄りの世話はやったことありますけど、子どものことは、ちゃんと勉強したわけじゃなくて」

標準語にわずかな訛りが混じっていて、言い方は真っすぐだった。回りくどさがない。

若林星奈はキッチンのドア枠にもたれ、スマホを耳と肩で挟んだまま、空いた手で皿をシンクへ滑り込ませる。

「今年、いくつ?」

「二十二です」

「さっき『一つ言って...

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