第91章 もううちに住まないの?

西野直人が大股で歩み寄ってきた。

廊下をひと撫でするように視線を走らせる。床に散らばった書類、壁際で震える支配人――そして最後に、水谷瑞貴へ。

正確に言えば、水谷瑞貴と若林星奈の間にある、半メートルにも満たない距離へ。

西野直人は歩みを止めない。そのまま若林星奈の前まで来ると、自然に身体を斜めに入れて、星奈と優斗を背中へ庇った。

「何があった」

低く沈んだ声。視線はまっすぐ水谷瑞貴を射抜く。

若林星奈は西野直人の背後に立ちながらも、脳裏にはさっき支配人が吐いた言葉がまだ反響していた。

『クラウドは、あの方のものです』

水谷瑞貴の気だるげな立ち姿を見つめるだけで、胸の内がぐらり...

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