第94章 欲しいか?

優斗は三山唯に連れられて、奥の部屋へ入っていった。

リビングに残ったのは、若林星奈と水谷瑞貴だけ。

水谷瑞貴はソファに深く腰を沈め、片腕を背もたれに預けたまま、やけに気楽な姿勢を崩さない。まるで、さっきまでの出来事など最初から存在しなかったみたいに。

若林星奈は向かいに立ち、ルミネの株式持分譲渡契約書をテーブルへ叩きつけた。

「説明して」

水谷瑞貴は書類へ一瞥を投げただけで、手を伸ばそうともしない。

「何を?」

「ルミネよ」若林星奈は視線を外さない。「西野修也が『自分が作ったから引き継げ』って言った。私は信じた。……でも、違った」

身を屈め、指先で表紙をとん、と叩く。

「今...

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