第96章 7日間のホテルを予約した

若林星奈がマンションのドアを押し開けたとき、水谷瑞貴は玄関に立っていた。指先で白い封筒をつまんでいる。

星奈は靴を脱ぎかけたまま、動きを止めた。

「……どうしたの」

水谷瑞貴は答えず、封筒を差し出す。

封のところに、オーク国際幼稚園の金のエンブレム。

若林星奈はそれを開き、中のカードを引き抜いた。

入園通知書。

彼女はカードを元に戻し、封筒の口を整える。

数秒、沈黙。

「……ありがとう」

声は小さかった。けれど、芯までちゃんと届く言い方だった。

水谷瑞貴は分かる。今の「ありがとう」は社交辞令じゃない。きちんと、この恩を受け取ったという合図だ。

「どういたしまして」

...

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