チャプター 23

イライジャ・ヴォーン

状況を完全に理解するよりも早く、彼が近づいてくる気配に背筋を悪寒が駆け上がった。

逞しい腕が俺の腰に巻き付き、後ろへと引き寄せられる。押し付けられた彼の体温に、思わず息が詰まった。

肩に沿ってゆっくりとキスや甘噛みが落とされ、その一つひとつが身体に緊張と警戒の波を走らせる。

「お前はまさに誘惑そのものだ、イライジャ。俺だけの所有物(モノ)でよかったよ」

彼の声は低く、独占欲に満ちていた。

「ガッカリさせるなよ、ウサギ」

彼の唇が首筋を掠め、腰を掴む手に力がこもる。

「俺は気が短いんだ。お前を痛めつけたくはない。だから、このクソみたいな場所で他のオスに愛想を...

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