チャプター 52

イライジャ・ヴォーン

「もし俺がお前を操っていたなら……お前に選択の余地など、これっぽっちもなかったはずだ」

その言葉は重くのしかかり、見えない鎖のように俺の心に絡みついた。

彼の言う通りだった。

結局のところ、ここに残ることを選んだのは、俺自身だったのだから。

俺はため息をつき、一瞬だけ瞳を閉じた。

「さあ、薬を飲むんだ」

彼の声は再び柔らかく、なだめるような響きを帯びていたが、その奥底には依然として支配的な色が潜んでいた。

「痛みと炎症を抑えてくれる」

彼は水筒を俺の唇にあてがい、飲むのを手伝ってくれた。喉の渇きを冷たい液体が癒やす中、俺はなんとか薬を飲み込んだ。

飲み...

ログインして続きを読む