チャプター 66
イライジャ・ヴォーン。
日はすでに沈んでいたが、独房に戻る気にはなれなかった。ひんやりとした夜気、穏やかな微風、そしてダンテの膝に抱かれている感触――それらが、この場所では得がたい安らぎを与えてくれていた。
急ぐ必要はない。ただ二人で共有する静寂なひととき。
だが突然、彼は立ち上がり、俺をコンクリートのベンチに優しく座らせた。
「ここで待ってろ、ウサギ。すぐ戻る」
低く響く声。額に柔らかなキスを落とし、彼は中庭を出て行った。
暗い廊下の奥へと消えていく彼のシルエットを見つめていると、胸の奥に奇妙な不安が広がっていった。
目を閉じて深く息を吸い込むと、遠くから潮の香りが漂ってきた。...
ログインして続きを読む
チャプター
1. プロローグ
2. チャプター 01
3. チャプター 02
4. チャプター 03
5. チャプター 04
6. チャプター 05
7. チャプター 06
8. チャプター 07
9. チャプター 08
10. チャプター 09
11. チャプター 10
12. チャプター 11
13. チャプター 12
14. チャプター 13
15. チャプター 14
16. チャプター 15
17. チャプター 16
18. チャプター 17
19. チャプター 18
20. チャプター 19
21. チャプター 20
22. チャプター 21
23. チャプター 22
24. チャプター 23
25. チャプター 24
26. チャプター 25
27. チャプター 26
28. チャプター 27
29. チャプター 28
30. チャプター 29
31. チャプター 30
32. チャプター 31
33. チャプター 32
34. チャプター 33
35. チャプター 34
36. チャプター 35
37. チャプター 36
38. チャプター 37
39. チャプター 38
40. チャプター 39
41. チャプター 40
42. チャプター 41
43. チャプター 42
44. チャプター 43
45. チャプター 44
46. チャプター 45
47. チャプター 46
48. チャプター 47
49. チャプター 48
50. チャプター 49
51. チャプター 50
52. チャプター 51
53. チャプター 52
54. チャプター 53
55. 第五十四章
56. チャプター 55
57. チャプター 56
58. チャプター 57
59. チャプター 58
60. チャプター 59
61. チャプター 60
62. チャプター 61
63. チャプター 62
64. チャプター 63
65. チャプター 64
66. チャプター 65
67. チャプター 66
68. チャプター 67
69. チャプター 68
70. 第六十九章
71. チャプター 70
72. チャプター 71
73. チャプター 72
74. チャプター 73
75. チャプター 74
76. チャプター 75
77. チャプター 76
78. チャプター 77
79. チャプター 78
80. チャプター 80
81. チャプター 81
82. チャプター 82
83. チャプター 83
84. チャプター 84
85. チャプター 85
86. チャプター 86
87. チャプター 87
88. チャプター 88
89. チャプター 89
90. チャプター 90
91. チャプター 91
92. チャプター 92
93. チャプター 93
94. チャプター 94
95. チャプター 95
96. チャプター 96
97. 第97章
98. チャプター 98
99. エピローグ
100. 謝辞
101. チャプター 1
102. チャプター 2
103. チャプター 3
104. チャプター 4
105. チャプター 5
106. チャプター 6
107. チャプター 7
108. チャプター 8
109. チャプター 9
110. チャプター 10
111. チャプター 11
112. チャプター 12
113. チャプター 13
114. チャプター 14
縮小
拡大
