チャプター 85

ダンテ・カステリ

目が覚めると、体が軽くなっていた。

昨日の痛みは嘘のように引いていき、頭の中でガンガンと鳴り響いていた混沌も、今では遠い残響のようにしか感じられない。俺は狭いベッドの上で身を起こし、体重で沈み込む薄いマットレスの感触を確かめながら、肩と首を軽く回して関節をポキポキと鳴らした。

伸びをすると、自然とため息が漏れた。夢も、記憶もない。ただの完全なる暗転。奇妙なことに、かえってそのおかげで最高にすっきりとした気分だった。

ゆっくりと立ち上がり、強張った筋肉を少しずつほぐしていく。独房の扉が開いていることに気づき、廊下へと足を踏み出すと、周囲の空気が軽く感じられた。

制服や...

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