第1054章

松本桜はそう言い終えると、立ち上がってリビングを出ていった。

松本浄香はその背中を見送り、そっと唇を結ぶ。……そんなに、わたしのことが嫌いなの?

じゃあ、わたしはここに何のためにいるのだろう。

少し考えた末、松本浄香も腰を上げてそのまま出ていった。

それを見た使用人が、すぐさま松本桜に報告する。

話を聞いた松本桜は一瞬黙り込み、何も言わなかった。二階の窓辺に立ち、松本浄香が去っていくのを見下ろす。

細い背中。なぜだか、そこにふっと寂しさが滲んだ。

「せっかく連れてきたのに、夕飯くらい一緒に食べさせたらよかったのに」小林絵里が寄ってきて、同じようにその背中を眺めながら言った。

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