第108章

絵里は無表情のまま背を向け、そのメンズショップを出ると、真っ直ぐに別のストリート系ブランドの店へと向かった。

試着を終えた高川寒彦が出てきた時、彼女の姿はすでになかった。彼は少し戸惑ったように表情を止め、尋ねた。

「どうした?」

松本桜は驚いたように声を上げた。

「高川さん、スーツ姿もこんなに似合うなんてびっくり。やっぱりイケメンは何を着ても、ボロ布一枚羽織ったってスーパーモデルみたいなオーラが出るのね」

高川寒彦は軽く応じた。

「褒めてくれてサンキュー」

そのまま桜が付け加える。

「絵里なら斜め向かいの店にいるわよ」

高川寒彦は自分が着ているスーツに視線を落とすと、瞳の奥...

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