第109章

「高川さん、この服、どうですか?」

写真を撮る高川寒彦を見守りながら、小林絵里はそっと一歩下がり、そう尋ねた。

高川寒彦は口角を吊り上げ、妖艶なまでの美貌に笑みを浮かべた。

「とてもいい」

「じゃあ、これにしますね」

小林絵里はカードを取り出し、会計を済ませた。

高川寒彦はそれを制止することなく、底知れぬ深みを帯びた瞳で彼女の姿をじっと見つめている。

会計を済ませた途端、小林絵里のスマホが鳴り出した。画面を見ると、部長からの着信だった。

「はい、部長」

電話越しに聞こえる部長の声は、どこか妙だった。

『小林くん、今忙しいかな?少し数値の合わないデータがあってね。悪いんだが...

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