第126章

高川寒彦は、なおも食い下がった。

「俺も一緒に行くよ。俺がいれば、彼も君に手酷い真似はできないはずだ」

小林絵里は胸の奥が温かくなるのを感じたが、微笑んで首を振った。

「お気遣いなく。なんだかんだ言っても彼とは夫婦ですから、内輪で処理した方がずっと簡単なんです」

高川寒彦の瞳の奥で何かが揺らいだが、やがて静かに頷いた。

「分かった。何かあったら、すぐに俺を呼ぶんだぞ」

「ええ」

高川寒彦は背を向け、その場を離れていった。

小林絵里は、A12の個室へと歩を進めた。

扉の前に立つと、二度深呼吸をして昂る感情をなだめる。それからようやく、重い扉を押し開けて中へと足を踏み入れた...

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