第129章

小林絵里は顔を上げ、高川寒彦に視線を向けると、小さく微笑んだ。

「桜、見つかりました。私たち、ちょうど帰るところだったんです」

「それならちょうどいい。俺が送っていくよ」と、高川寒彦が応じる。

絵里は首を横に振った。

「お気遣いなく。もう車を手配してあるので。ありがとうございます」

すかさず松本桜が口を挟む。

「車なんてキャンセルすればいいじゃない。高川さんが送ってくれるのも、どうせついでなんだし。それじゃあ、高川さん、お言葉に甘えちゃいますね!」

高川寒彦は、その端正でどこか危険な香りのする顔に、からかうような笑みを浮かべた。

「松本さんがこう言ってるんだ。それでもまだ...

ログインして続きを読む