第143章

夏目夕子の青白い顔に、ふっと笑みが浮かんだ。

「わたし、大丈夫よ。あの時はただ疲れ果てていて、少し眠ってしまっただけなの」

「嘘ばっかり。誰が床なんかで寝るっていうのよ?部屋にはガスも充満していたじゃない。夕子、馬鹿な真似はもうやめてくれない?」

瀬戸欣江が声を荒らげる。

「ええ、わかっているわ」

その時、病室に坂田和也が入ってきた。彼の暗く沈んだ視線が夏目夕子の青白い顔に落ちると、その表情はわずかに強張った。

「和也、ごめんなさい。驚かせてしまったわね。本当はもう大丈夫なの。何か用事があるなら、そっちを優先してちょうだい」

彼の姿を認めた夏目夕子は、その蒼白な顔に思いやりに満...

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