第154章

救急車はすぐに到着した。

小林絵里もそれに同乗し、病院へと向かった。

楓の苑のゲートから少し離れた場所。黒いキャップを深く被り、黒いマスクで顔を覆った少女が、遠ざかる救急車をじっと見送っていた。やがて彼女はスマートフォンを取り出し、どこかへ電話をかける。

「奥様、彼が毒に倒れました」

……

病院。

坂田和也はすぐさま救急救命室へと運び込まれた。

検査の結果、原因は薬物中毒。現在進行形で、毒素が急速に体内へ回っている状態だった。

その事実を告げられ、小林絵里は呆然と立ち尽くした。

毒?

どうして、毒なんかに?

頭の中がぐちゃぐちゃになり、顔から血の気が引いていく。手足が小...

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