第170章

「そう言われると、確かに一つの手ですね」と、小林絵里は言った。

 高橋雲は口元の笑みを少し深めた。「実はね、私、あなたのこと結構気に入っているのよ。あなたが和也とずっと一緒に生きていけたら、本当に素敵だわ」

 小林絵里は薄く微笑んだ。「考えておきます」

 高橋雲は頷く。「ええ。何か必要なことがあったら言ってちょうだい。必ず力になるから」

「ありがとうございます、坂田夫人」

 表面上は愛想良く対応しながらも、絵里は高橋雲が何か企んでいるのではないかと薄々勘づいていた。だが、相手の身分と地位を考えれば、正面から対立するだけの力は今の彼女にはない。

 だからこそ、高橋雲の言葉には適...

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