第176章

庄司一火は夏目夕子をそのまま病院へと運び込んだ。当時の彼女はひどく怯え、泣きじゃくった末に意識を失っていた。

庄司一火は、夏目夕子を誘拐した実行犯たちをすでに捕らえていた。厳しい尋問の末、彼らは小林絵里という女に指示されたのだと自白した。

坂田和也の最初の反応は、あり得ない、というものだった。

だが直後、彼のメールボックスに一本の音声データが送られてきたのだ。

「不可能」は瞬く間に「可能」へと変わった。

「……」

「和也!」

沈黙を貫く坂田和也を見て、夏目夕子は今にも泣き出しそうな顔で訴えた。

「あなたが他の女の人を好きになっても、私は責めないわ。でも、あんなに心のねじ曲がっ...

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