第177章

だが、夏目夕子は首を横に振り、どうしても降りようとはしない。涙で霞む瞳で坂田和也を見つめ続けた。

「わかってる、私なんてもうどうでもいい存在なんだって。私が必死に生き延びてきたのは、あなたのためだったのに。もう私を必要としないなら、生きている意味なんてないわ」

彼女は背を向け、両腕を大きく広げた。その華奢な体は、まるで風に舞い散る一羽の蝶のように、今にも空へ落ちていきそうだった。

「やめろ!」

坂田和也が悲痛な叫びを上げた。

「きゃあっ!」

次の瞬間、すぐそばから苦痛に満ちた短い悲鳴が上がった。

「夏目嬢、この女があなたに土下座しています!」

庄司一火の声が響き渡る。

全員...

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