第183章

 彼女の姿を認めるや否や、瀬戸欣江の顔に怒りが浮かび上がった。凄まじい剣幕で突進してくると、小林絵里の顔めがけて平手を振り上げた。

「このクズ! よくも夕子を誘拐なんてしてくれたわね。あんたって女は、どこまで腹黒いの!」

 小林絵里は瞳孔を収縮させ、咄嗟に腕を伸ばしてその手を遮ると、力任せに突き返した。

「頭おかしいんじゃないの? 人を見るなり発狂して。狂犬病のワクチンを打つべきなのはそっちでしょ?」

「クズ!」

 突き飛ばされてよろけた瀬戸欣江は、体勢を立て直すと、小林絵里を憎々しげに睨みつけた。今にも生きたまま食いちぎらんばかりの勢いだった。

「あんたがいつまでも坂田和也と離...

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