第189章

斉藤健也の瞳に陰湿な凶光が閃き、小林絵里の顔めがけて勢いよくナイフを振り下ろした!

 外は漆黒の闇に包まれていたが、差し込む月明かりがナイフの刃を捉え、振り上げられた瞬間に鋭い光を反射した。

 小林絵里の心臓が激しく縮み上がり、彼女は思わず叫んだ。

「死ぬにしても、せめて理由くらい教えてよ!」

 斉藤健也の動きがピタリと止まった。彼は陰湿な笑みを浮かべ、マスクと帽子を乱暴に脱ぎ捨てると、小林絵里の髪を鷲掴みにした。

「よく見ろ。俺の顔をよく見ろ。本当に覚えてないってのか?」

 無理やり顔を上げさせられた小林絵里は、目をわずかに見開き、斉藤健也の顔を見つめた。

 斉藤健也は彫りの...

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