第191章

小林絵里は彼の冷たい背中を見つめ、深呼吸をして、ただひたすらに苛立ちを感じていた。

あの人は一体どういうつもりなのだろうか。

以前は離婚すると言っていたのに、わたしが承諾した途端、今度は彼が応じようとしない。

おまけに、夏目夕子が誘拐されたことまでわたしのせいにして。

そして今度は、わたし自身が斉藤健也に狙われている。

生活はまさに滅茶苦茶だ。

坂田和也は少し歩いてから、小林絵里がついて来ないことに気づくと、眉をひそめ、振り返って冷たい視線を彼女に向けた。

小林絵里はどれほど嫌でも車を降り、彼の後を追って坂田邸へと足を踏み入れた。

「和也様、小林お嬢様」

入ってきた二人を見...

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