第194章

小林絵里はバッと立ち上がり、そのまま立ち去ろうとした。

坂田和也は彼女を引き留めなかった。ダイニングから彼女の気配が完全に消え去って初めて、彼の瞳の色が少し和らいだ。

その時、執事が口を開いた。

「和也様、それらの品はすべて倉庫に納めましたが、いかがいたしましょうか」

「ひとまず置いておけ」

坂田和也は淡々と言い放った。

執事は頷き、それ以上何も言わなかった。

……

小林絵里は坂田邸を後にした。ここはかなり辺鄙な場所で、バス停まで二キロほど歩かなければならない。

五分ほど歩いた頃、背後から車のエンジン音が近づいてきた。

プップー!

クラクションが鳴り、小林絵里が無意識に...

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