第195章

「んっ!」

小林絵里は彼を力いっぱい押し退けようとしたが、彼の力は圧倒的だった。まるで彼女を丸ごと呑み込もうとするかのように、強烈で清冽な男の匂いが彼女を完全に包み込み、容赦なく侵食してくる。

どれほど時間が経っただろうか。小林絵里が息も絶え絶えになった頃、ようやく彼は唇を離した。鼻先が触れ合うほどの距離で、肩で息をする彼女の目尻が赤らんでいるのを見つめる。彼の喉仏が大きく上下に動き、それから彼は無言のまま車を降りていった。

激しい口づけに抗う気力さえ奪われ、小林絵里は座席にぐったりと身を預けた。指一本動かすことすらままならない。

潤んだ瞳には、妖艶な色香とともに激しい怒りが揺らめい...

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