第197章

あいつは一体、どれだけ最低な男なのだろう。

あれだけ色々なことがあったというのに、よくもまあ顔色一つ変えずにあんな台詞が言えたものだ。

小林絵里は一つ深呼吸をしてから、口を開いた。

「会社には行かないの?」

坂田和也は、彼女が手を下ろしたのを見てどこか名残惜しそうな素振りを見せたが、特に何も言わず、代わりに車のエンジンをかけた。

車内には、何とも言えない異様な空気が漂っていた。

会社に到着する頃には、絵里はすっかり感情の整理をつけていた。車を降りると、一度も振り返ることなくオフィスビルへと足を踏み入れた。

和也は彼女の華奢な背中を見つめ、その視線は腰からヒップラインへと滑っ...

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