第199章

小林絵里はデスクに戻るなり、言い知れぬ不条理感に襲われた。

坂田和也がいったい何を考えているのか、彼女にはさっぱり分からなかった。

彼は夏目夕子のことを大切に思っているのではなかったのか?

それなのになぜ、自分にこんなふうにまとわりついてくるのだろう。

怒り、悲しみ――様々な感情が入り混じり、ただ深い無力感だけが重くのしかかってくる。

ちょうどその時、松本桜から電話がかかってきた。

「絵里ちゃん、もう仕事始まってる?」

電話越しに聞こえる松本桜の声は、ひどくげっそりとしていた。

小林絵里は尋ねた。

「うん、仕事中だよ。どうしたの?」

松本桜は大きく悲鳴のような声を上げ...

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