第205章

小林絵里は一瞬、ぽかんとした。手にしているミルクティーを見下ろす。――これ、彼が買ったんじゃなかったの?

けれど、坂田和也の顔に張りついた冷たさはあまりにも本物で、嘘をついているようには見えない。

絵里は苦く口元を引きつらせた。自分はてっきり、彼が覚えていてくれたのだと思っていた。さっきの出来事で怯えているだろうと気づいて、気遣いでミルクティーを買ってくれたのだと。

……ただの思い上がりだった。

深く息を吸い、ミルクティーをゴミ箱へ放り込む。それから彼の後ろについて坂田邸の中へ入った。

そのまま階段を上がり、寝室へ。

坂田和也は襟元のボタンを乱暴に外し、氷みたいな声で言い放つ。

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