第210章

小林絵里はぎくりとして、「でも……わたし、ああいうパーティーに出たことなくて。失礼があったらって、怖いです」と言った。

高川寒彦は「大丈夫。君は綺麗にしていれば、それでいい」と返す。

小林絵里はこくりと頷き、「……分かりました。もし何かやらかしたら、叱らないでくださいね」と念を押した。

高川寒彦がくすりと笑う。「絶対にしない」

小林絵りはそのまま荷造りを続けた。

持ち物は少ない。スーツケース一つで収まってしまう。片づけ終えたところで、ふっと意識が遠のくような感覚に襲われた。

ここに越してきて、ずいぶん経つのに——こんなに少しだけ?

結局、最初からこの場所を「自分の居場所」だとは...

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