第211章

孤児院にいる子どもたちの多くは、親に捨てられた子だ。

幼い小林絵里も、ふと考えてしまう。――わたしも、捨てられたのかな。

産んだのなら、どうして要らないの。

だから今まで、実の両親を探そうと思ったことは一度もなかった。

高川寒彦は、彼女のぼんやりした表情を見つめて言った。

「もしかしたら家の人に何かあったのかもしれないし、誰かに連れ去られた可能性だってある。そういうこともあるんだ。小林絵里……探したいか?」

「まだ、決められてません」

「なら、ゆっくり考えろ。決めたら俺に言え。手伝う」

小林絵里は彼を見上げ、胸がじんとした。

「寒彦さん、どうしてそんなに優しいんですか?」

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