第218章

千惠が言った。「あの子、どうして戻ってきたの? 昔のこと、もう恨んでないっていうの?」

立田芳子は低い声で返す。「わたしもまさかだよ、千惠。いまはそこにこだわってる場合じゃない。もし本当に何か気づかれたら、どうするの?」

千惠はふっと笑った。「大丈夫。院長ママ、あの子は何も知らないわ。でも、万が一に備えて……当時やりきれなかったこと、続ければいい」

立田芳子の目がぱっと光る。「……いい。わかった!」

そしてすぐ、声を弾ませて訊ねた。「ねえ千惠、いつ帰ってくるの? どれだけ顔を見せてないと思ってるの」

千惠の声音が、急に数段冷たくなる。「院長ママ、こっちは少し用事があるの。先に片づけ...

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