第219章

小林絵里は思った。実の両親についてのことさえ聞ければ、すぐに安町を出ていける。だからこそ、ぐっと堪えて言った。

「……わかりました」

立田芳子が鼻で笑う。

「それでいいのよ」

そう言い捨てると、向こうはさっさと電話を切った。

小林絵里はスマホを脇に置き、布団をかぶって眠りにつく。

夜。

翡翠居。

小林絵里が近づくと、遠目にも立田芳子が入口に立っているのが見えた。落ち着かない顔で、そわそわしている。

絵里は歩み寄る。

「立田院長」

立田芳子は彼女を見るなり、ほっとしたように息を吐き、勢いよく手を掴んできた。

「遅いじゃない! もしかして、あれを知りたくないの?」

小林...

ログインして続きを読む