第228章

「お客様、申し訳ございません。当ホテルはご宿泊のお客様以外、ロビーでの滞在をご遠慮いただいております。恐れ入りますが、早めにご退出ください」

 小林絵里の表情がすっと曇った。

 そんな決まりまであるの?

 けれど、すぐに腑に落ちる。安町でこれほど格式の高いホテルはここしかない。出入りするのは名のある客ばかりだ。無関係な人間をロビーに置いておくわけにはいかない。万が一、招いた大切な客に何かあれば——。

 だが、外はバケツをひっくり返したような大雨で、車影ひとつない。いま出ろと言われて、どこへ行けというのだ。

 小林絵里は唇をきゅっと結んだ。ここに連れて来たのは坂田和也だ。

 ホテル...

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