第243章

斉藤子玄は小林絵里が立ち去る背中を見送りながら、どこか複雑な表情を浮かべていた。長島明が首をかしげる。

「誰だよ、あの子」

「孤児院で一緒に育った……友だちだ」

長島明はにやっと笑う。

「へえ、かなり可愛いじゃん。お前、さっさと動けよ。手ぇ貸そうか?」

「変な冗談言うな。……もう結婚してる」

長島明は一瞬で気まずくなり、頭をかりかりとかいて黙り込んだ。

……

翡翠居に着いたころには、小林絵りの顔から温度が完全に消えていた。

道中ずっと考えていたのに、どうしても腑に落ちない。坂田和也はいったい、なぜ斉藤子玄を狙い撃ちするのか。

斉藤子玄はただの一般人だ。脅威になるはずがない...

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